1:万一ケビンだと思った人にはすまない……:2012/06/09(土) 16:21:29.93 ID:1h7kC7gW0
ベグニオン領内・陣営
マーシャ「あれ?あそこにいるのは……アイクさん!」 タッタッ
アイク「ん?マーシャじゃないか。どうかしたのか?」 ブンッブンッ
マーシャ「いえ、特には。ただ、アイクさんが鍛錬しているのが見えたので。……迷惑でした?」
アイク「まさか。だが……こんなのを見てても面白いことなんてないだろう」
マーシャ「そんなことないですよ?」
アイク「そうか?そうならいいんだが……」
ベグニオン領内・陣営
マーシャ「あれ?あそこにいるのは……アイクさん!」 タッタッ
アイク「ん?マーシャじゃないか。どうかしたのか?」 ブンッブンッ
マーシャ「いえ、特には。ただ、アイクさんが鍛錬しているのが見えたので。……迷惑でした?」
アイク「まさか。だが……こんなのを見てても面白いことなんてないだろう」
マーシャ「そんなことないですよ?」
アイク「そうか?そうならいいんだが……」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:26:21.36 ID:1h7kC7gW0
マーシャ「ついに、クリミアへ進軍するんですよね」
アイク「そうだな。もう準備は済ませたのか?」
マーシャ「ええ!天馬騎士の支度はてきぱきすべし、って叩き込まれてますからね。アイクさんは?」
アイク「俺はもとより大した装備でもないからな」
アイク「代わりって訳じゃないが、随分責任は重くなってしまったが」
マーシャ「例の叙勲、ってやつですか?」
アイク「ああ。形式上とはいえ、爵位ってのは妙に面映いというか、馴染まないな」
マーシャ「アイクさんらしいですね。ふふっ」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:33:55.44 ID:1h7kC7gW0
アイク「本来ならこうやって剣なんか振ってる場合じゃないのかもしれんが、日課として染み付いてしまっているからそう簡単には抜けん」 ビュッ
アイク「作戦の立案諸々はとりあえずセネリオに押し付けてしまっているが……ゆくゆくは俺も覚えなきゃならんのだろうな」 ダッ スパンッ
アイク「大局的な見地でものを見る、ってのは重要なのは理解できるんだが。やはり俺は深く考えるのは向かん」 ヒュンッ チャキッ
マーシャ「……よく話しながら修行できますね」
アイク「慣れてるからな。体が勝手に動いてしまうぐらいにならんと実戦じゃ使えん」
マーシャ「しかし大局的、かぁ……大局的、広い視野……そうだ!」
マーシャ「アイクさん、私の天馬に乗ってみませんか?」
アイク「……なんだって?」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:40:29.11 ID:1h7kC7gW0
アイク「天馬は乙女しか乗れないと思い込んでいたが……」
マーシャ「よくされるんですよねぇその勘違い。女性の方が単に天馬と馴染みやすいってだけで、男の方でも普通に乗れるんですよ?」
アイク「とはいえ即席で乗りこなせるほど俺は乗馬に慣れてるわけじゃないし、そもそも今言った通りそう簡単に俺に天馬が馴染んでくれるとは思えん」
マーシャ「それは私が手綱を握りますから大丈夫です。アイクさんは後ろに座ってください」
アイク「なるほど、それならいけそうだが……天馬は重くないのか?」
マーシャ「負傷兵の救護なんてのも天馬騎士の仕事の一つですから、一人ぐらいなんてことありませんよ」
アイク「ふむ……じゃあ折角だから乗せてもらおうかな。なかなかない体験だろうしな」
マーシャ(やった!) グッ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:46:13.42 ID:1h7kC7gW0
マーシャ「乗りました?じゃあいきますよ……お願い!」
ペガサス「……!」 コクッ
ダカダカダカ ビュオオッ
アイク「……!これは……凄いな。人がアリのようだ」
マーシャ「ちょ、ちょっと急に飛びすぎちゃいましたね……怖かったりしないですか?」
アイク「いや……まあ、思った程怖くはないな。天馬も落ち着いているし、良く訓練されているんだな」
アイク「ただ、この高さで戦闘をする、となったら話は別だろうが……」
マーシャ「アイクさん……もうちょっと戦いから離れた考えはできません?」
アイク「あっと、すまない。つい性分でな」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:59:27.55 ID:1h7kC7gW0
マーシャ「それで、どうですか?空から下を見下ろしたご感想は」
アイク「……綺麗だな」
マーシャ「えっ?」
アイク「戦乱で荒れつつあるとはいえ、こうして空から見た大地ってのはやっぱり綺麗で壮大なもんだ」
マーシャ「あ、あぁ……はい」
アイク「何か変なこと言ったか?」
マーシャ「い、いえ!なんでもないですっ」
マーシャ(そんなはずないわよね……まったく私のバカ) カァァ
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:09:03.16 ID:1h7kC7gW0
アイク「それはそれとして、見取り図では見たが上から見るとこんな陣形になっているんだな」
アイク「セネリオが考えたらしいが、確かにこうして見ると敵から見たら厄介そうだ」
マーシャ「……随分信頼してるんですね、セネリオさんのこと」 ムスッ
アイク「なんだかんだで俺達の参謀役だからな。抜けた所も多いが、それ以上に頼りにしてるのは間違いない」
マーシャ「そう……ですか」
アイク「とはいえ、こうして考えると天馬騎士の役割ってのは本当に重要なんだな。マーシャは凄いと思う」
マーシャ「は、はいっ!?」
アイク「ん?いや、うちの飛行部隊ってあんたとジルだけだからな。改めてそう感じただけだが」
マーシャ「そ、そそそそんな私なんて」
アイク「……そんなに意外そうな顔をしなくとも。顔も赤いし、気を悪くしたならすまない」
マーシャ「そ、そその……も、もうそろそろ降りましょうか!」
アイク「うん?そうだな。そうするか」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:18:02.58 ID:1h7kC7gW0
アイク「面白い試みだった」
マーシャ「そ、そうですか。そう言って貰えると嬉しいです」
アイク「今回は体験学習みたいなものだったが、いざ敵と向かい合った時はこういう情報がきっと役に立つんだと思う」
アイク「マーシャ、次に敵軍と対峙した時に試しにまた乗せてもらえないか?」
マーシャ「えっ!?」
アイク「さっき言った通りだ。別に斥候に頼めばいいんだろうが、自分の目で確かめるのも重要だと思うからな」
アイク「嫌なら別にいいんだが……」
マーシャ「と、とんでもありません!こちらこそよろしくお願いします!」
アイク「そうか。それは良かった」
アイク「そろそろ戻らないとセネリオやティアマトにがなられそうだからな。今日は世話になった」 スタスタ
マーシャ「……」 ギュッ
マーシャ「いたっ!……夢じゃ、ないのよね」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:28:10.55 ID:UcIpXXWz0
――――――
クリミア領内
マカロフ「お~い、マーシャ~」
マーシャ「……はぁ。何?兄さん」
マカロフ「わかってるくせに~。金貸してよ」
マーシャ「この切羽詰まってる時に金貸してなんてよく言えるわね……」
マーシャ「この前ステラさんのペンダント質に入れようとして懲りたんじゃなかったの?」
マカロフ「う……そ、それはそうなんだけどさ~。もうこれは俺の性分っていうか、変えられない性っていうか」
マーシャ「……はぁ。1000Gだけよ?」
マカロフ「あ、ありがと~。必ず返すからさ」 ダッ
マーシャ「……」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:32:05.69 ID:UcIpXXWz0
マカロフ「あ」 ピタッ
マーシャ「何?まだ何かあるの?」
マカロフ「お前、最近アイク将軍と良さげな仲らしいじゃん」
マーシャ「!」 ドキッ
マカロフ「なんかよく天馬でデートしてるって噂だぜ~?ま、頑張れよ~」 ダッダッ
マーシャ「……そ、そんなに噂になってたのね、アイクさんとの事……」 カァァ
アイク「俺がどうかしたか?」
マーシャ「わぁっ!おどかさないでくださいよアイクさん!」
アイク「別におどかしたつもりはないんだが……」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:40:17.68 ID:UcIpXXWz0
アイク「……また金の無心に来てたのか?マカロフは」
マーシャ「え。み、見てたんですかアイクさん!?」
アイク「いや、あいつが走り去るのが見えただけで話の筋はさっぱりだが……どうかしたのか?」
マーシャ「……はぁぁ。い、いえ……仰るとおりでして」
アイク「ああいう輩は甘やかしてもろくなことにならないと思うんだがな」
マーシャ「……わかってるんです。今渡した金もどうせ賭場を潤して消えるっていうことぐらいは」
マーシャ「……でも、そんなダメな兄さんでも、私からすれば血の通った兄妹なんです」
マーシャ「だから私が見といてあげれば、人様に迷惑をかけられるよりはマシだと思うので」
アイク「そうか……マーシャは優しいんだな」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:47:56.13 ID:UcIpXXWz0
マーシャ「ありがとうございます。時々、はったおしてやりたいと思うときはありますけどね」
アイク「はは……」
マーシャ「そんな時は決まってアイクさんの顔が思い浮かぶんですよね」
アイク「……俺の?」
マーシャ「ええ。ミストちゃんが羨ましいなって。アイクさんみたいな兄さんだったら、私は……」
アイク「俺もそんなにできた兄だとも思わないが……光栄に思っておく」
マーシャ「……すみません、なんか愚痴っちゃったみたいで。一つ、お願いを聞いてもらっていいですか?」
アイク「俺でよければいつでも聞くさ。なんだ?」
マーシャ「あの……頭を撫でてもらっていいですか?本当のお兄さんみたいに」
アイク「わかった。……これでいいか?」 ワシャワシャ
マーシャ「あ……すごく気持ちいいです」 ジワッ
マーシャ「……ありがとうございました。もう結構です」
アイク「そうか。じゃあ、今日もいつものあれ、頼めるか?」
マーシャ「はい!」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:57:33.26 ID:UcIpXXWz0
――――――
海賊1『こんなところに一人で乗り込んでくるたぁ、能天気なお嬢ちゃんだ』
海賊2『兄貴の借金分、あんたが払ってくれるんだろう?――体でな!!』 ガッ
マーシャ『そ、そんな……離して!』
海賊3『へっ、抵抗したって無駄だ。おとなしく剥かれちまいなっ!』 ビリビリ
マーシャ『い、いやぁぁ!やめてっ!』
海賊1『はっ、この反応――まだ男を知らないと見えるな』
海賊2『こんな上玉で処女なんてなかなかついてるなぁ。たっぷり楽しませてもらおうぜぇ』
マーシャ『(だ、誰か……誰か助けて……!)』
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:03:07.80 ID:UcIpXXWz0
ヒュン
海賊3『ぐぁっ!』 バタッ
海賊2『こ、これは矢だと!?あんな距離から!?』
シノン『……下種が』
ダッ
海賊1『な、なんだてめぇは――ぐあぁっ!」 ザシュッ
???『お前達に語る名など無い』
海賊2『て、てめぇ――若造が、なめんじゃねぇぞ!」
???『……ふん。親父に比べたら遅すぎて欠伸が出る』 ザッ
海賊2『な……んだと?』 ズバァン
マーシャ『あ……あぁ……』
???『……とりあえずこれを』 ファサッ
マーシャ『マント……』
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:08:38.66 ID:UcIpXXWz0
???『災難だったな。奴らに何かされなかったか?怪我は?』
マーシャ『い、いえ……まだ、服だけで……うぅっ……!』 ポロポロ
???『……そうか。ティアマト、女の子を一人保護した。服を準備してやってくれ』
マーシャ『あ、あのっ!』
???『ん?』
マーシャ『た、助けてくれて、本当にありがとうございました……』
???『……気にする必要は無い。どうせ奴等は始末する依頼だったから、そのついでだっただけだ』
マーシャ『このご恩は必ず、必ず返しますから!その、お名前を教えていただいて構いませんか……?』
アイク『……アイクだ。グレイル傭兵団のアイク』
マーシャ『アイク……さん』
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:11:29.80 ID:UcIpXXWz0
パカラッパカラッ
ティアマト『アイク!大丈夫?』
アイク『ああ、俺なら心配ない。それよりもこの子を。俺は残党を掃討しに行く』
ティアマト『わかったわ、無理はしないようにね。さ、立てる?』
マーシャ『は、はい』
――――――
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:12:08.60 ID:y1bL70WP0
こんな出会いだったっけ?
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:17:54.76 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ、どうかしたのか?飛んだと思えば急にボーッとして」
マーシャ「い、いえ!少し疲れてるのかな、あはは」
アイク「疲れを残すのは危険だぞ。今日はやめておくか?」
マーシャ「大丈夫です!全く問題ありません!」 カァァ
アイク「そ、そうか。その元気があるなら大丈夫かな」
マーシャ「す、すいません」
アイク「マーシャに元気がないと俺も困るからな。元気なのは何よりだ」
マーシャ「えっ……」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:23:08.76 ID:UcIpXXWz0
>>35
海賊に騙されてるのを助ける、までは原作通りのはず(ちなみに蒼炎のケダモノ枠)
アイク「俺はマーシャに命を預けてるわけだからな。急に具合が悪くなられても困る」
マーシャ「……まぁ、そうですよね。でも信頼されてるのは素直に嬉しいです」
アイク「そうか。ところで、なんで天馬騎士って魔法使ったりはしないんだ?」
アイク「こんな風に二人乗りもできるわけだし、自分で使わずとも魔導士が同乗して上から掃射する、なんて戦術も取れそうだが」
マーシャ「うーん……」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:32:42.44 ID:UcIpXXWz0
マーシャ「単純に天馬が嫌がる、ってのが大きいかもしれませんね」
マーシャ「弓や風魔法は論外ですし、雷魔法もその性質上標的になりやすいですから」
マーシャ「炎や光の魔法ならいけるかもしれませんが、まあ天馬にとっていい気はしませんでしょうね」
アイク「そういうものか……じゃあ例えばソニックソードみたいな魔法剣は?」
マーシャ「大丈夫だと思いますが、それならそもそも私達自身で扱えますし」
アイク「そうか。しかし、戦術としては面白いかもしれないし一考の余地はあるかもな」
マーシャ「そうですね。例えばアイクさんしか使えない武器なんてものがあれば実用的かもしれません」
アイク「そんなものがあれば、だけどな」
マーシャ「はい」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:38:57.29 ID:UcIpXXWz0
――――――
クリミア王宮
アシュナード「ぐはっ……!」
アイク「や、やったか……!?」
アシュナード「ふ……まだだ……まだ足りぬ……もっと、もっとだ……」
アシュナード「遂にこれを使う時が来たか……ふ、ふははは……!」
アイク「あれは……メダリオン!?」
ドォォォォン
アシュナード「ふしゅううううう……よい心地だ……」
アイク「なんだ……こいつは……みんな、逃げろっ!逃げるんだっ!!」
アシュナード「もとより雑兵に興味など無い……我をもっと楽しませよ……グレイルの息子よ!」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:42:46.93 ID:UcIpXXWz0
ビュオオッ
アシュナード「……参る」
ブオオオッ
アイク「な……なんてスピードだ……!!」
アイク(受けても死ぬ……だがもう避けれない……俺は死ぬのか……!?)
マーシャ「アイクさんっ!!」 ビュンッ
アイク「!!」 グイッ
ドォンッ!!
アシュナード「……ふん、逃したか。そうこなくては面白くない」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:47:42.10 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ……!」
マーシャ「アイクさん!大丈夫ですか!?」 ジワッ
マーシャ「アイクさんがやられちゃったら、だれがあいつを倒すんですか!?」
マーシャ「アイクさんがいなくなったら、私……わたし……!」 グスッ
アイク「……ありがとう、マーシャ。少し落ち着けた」
アイク「だが……どうやら降りてる暇はなさそうだ」
ブオンッ
アシュナード「ラジャイオンを駆る我と空戦とは、愚かな。だが面白い」
アイク「……マーシャ、俺の命を預ける。戦いは俺に任せろ」
マーシャ「……はい!」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:51:40.65 ID:UcIpXXWz0
アイク「まず距離を離してくれ!まともに戦ったら勝ち目は無い!」
マーシャ「はい!」 ビュオオッ
アイク「ちぃっ……!」 スパァン スパァン
アシュナード「ラグネルの剣圧か……だが軽い!」 キィンキィン
アシュナード「その程度の真似事なら余にもできるぞ!」 ズバァン
アイク「左だ!」
マーシャ「はいっ!」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:01:02.58 ID:UcIpXXWz0
地上
ジル「隊長!助けに行かないとまずいのでは――」
ハール「うーん……無理だな」
ジル「どうしてですか!あのままではジリ貧です!このままでは――」
ハール「つったって、俺達じゃどうしようもねぇよ。これは純然たる事実だ」
ハール「単純に攻撃が通じない上に、あの乗ってる竜がとんでもねぇ。竜同士じゃまず勝ち目はねぇな」
ジル「そんな冷静に分析してる場合じゃ――」
ハール「まぁ落ち着け。どの道今の状態で手を出しても向こうは歯牙にもかけねぇよ」
ハール「狙うなら、もっと効率のいいタイミングを選ぶ必要がある」
ハール「それに、救いなのは小回りだけならあの娘のファルコンの方が遥かに上だってことだ。よほどの信頼関係がねぇとできねぇぞありゃ」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:04:33.68 ID:UcIpXXWz0
タニス「ハール殿の言う通りだろう」
ジル「タニス殿……」
タニス「マーシャ……よくぞあそこまで成長したものだ」
タニス「お前の働き、ここで指を咥えて見ていなければならないのは歯痒いが……待っていろ」
ハール「チャンスは必ず来る。その時にすることはわかるな?」
ジル「……最高のタイミングで、横合いから思い切り殴りつける」
ハール「そうだ。……丁度、おいでなすったようだぜ」
ティバーン「あれが狂王……メダリオンの力ってやつか」
ネサラ「おい、あれと戦うのかよ……マジで?」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:13:32.36 ID:UcIpXXWz0
アイク「くっ……はぁっ!」 ビュンビュン
アシュナード「ちょこまかと逃げ回りおって……グレイルの名が泣くぞ」 ガキン ブンッ
アイク「右!」
マーシャ「はいっ!!」
アイク「はぁ……はぁ……!」
アイク「俺一人では勝てない……だが」
アイク「俺には、マーシャが……仲間達がいる!だからこそお前に負けるわけにはいかないっ!」
マーシャ「……!」
ビュウンッ
ティバーン「よく言った、坊主!」
ネサラ「はぁ……やれやれ。報酬はたんまりはずんでもらうぜ?」
アシュナード「ぐっ、鳥共の長か……面白い。なお面白くなった」 ニヤァ
アイク「感謝する、ティバーン、ネサラ!……行くぞ、アシュナード!」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:22:32.60 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ、前!」
マーシャ「はい!」 ビュオオッ
アイク「うおおっ!」 スパンッ スパンッ
アシュナード「効かぬと言っておる――何!?」 ズバッ
マーシャ「引きながらと進みながらでは威力が全く違います!」
ティバーン「でかしたアイク!おらあっ!」 ズガァッ
ネサラ「逝けオラァ!」 グサグサッ
アシュナード「この程度……ものの数ではない!」 ブオンッ
ティバーン「ちっ!」
ネサラ「くそがっ!」
アイク「まだだっ!」
アシュナード「もう背後にだと!?うぐっ!」 ズバッ
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:29:54.18 ID:UcIpXXWz0
アシュナード「調子に――乗るな!」 ブァンッ
アイク「何っ!?」
マーシャ「間に合わな――」
ドンッ
タニス「ぐあっ!」 ズシャッ
マーシャ「た、隊長!?」
タニス「だ、大丈夫だ。肩口を抉られただけだ、死にはせん」 グラッ
マーシャ「でも!」
タニス「うるさい!部下がこれだけ立派になったのだ。これくらい格好つけさせろ」
タニス「今だ、二人とも!」
ハール「おお!」
ジル「覚悟!」
ドカァッ
アシュナード「体当たりだと!?馬鹿な、ラジャイオンが」
ハール「止まってるところに左右から頭を揺らせば、流石に効くだろうよ」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:34:28.14 ID:UcIpXXWz0
アイク「止めだ!!」
ティバーン「おお!」
ネサラ「オラァッ!!」
ドガァッ グサァッ ズバァンッ
アシュナード「ふ……ふはははは……その調子だ……もっとだ……もっ……と……」 グラッ
ヒュゥゥゥン・・・グシャア
アイク「はぁ……はぁ……やった……か……」
ネサラ「……まぁ、この高度から落ちたら、さすがにアレとて生きちゃいねぇだろうな」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:44:08.78 ID:UcIpXXWz0
地上
スタッ
アイク「……マーシャ」
マーシャ「なんですか?」
アイク「……その、なんだ。ありがとう。マーシャが横から救い上げてくれなかったら、俺は間違いなく死んでいた」
マーシャ「いえ。私も、アイクさんが危ないと思った瞬間、体が勝手に動いていて――」
マーシャ「――やっぱり、アイクさんは私の王子様でした。助けてもらったあの時から、ずっと」
アイク「……マーシャ、俺は――」
マーシャ「ストップ、アイクさん。今はまだ答えなくていいです。今じゃフェアじゃない気がしますから」
アイク「……フェア?」
マーシャ「はい。もう少し落ち着いて、それから答えを出していただきたいです」
アイク「……わかった。だが、もう一度礼を言わさせてもらおう。ありがとう」
マーシャ「どういたしまして!」 ニコッ
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:55:49.05 ID:UcIpXXWz0
エリンシア女王誕生後
アイク「マーシャは、クリミアの兵として志願するって本当なのか?」
マーシャ「ええ。エリンシア様がとりなしてくれまして。タニス様が脱走についても不問にしてくださるとのことだったので」
アイク「そうか……なら、しばらくは顔を合わしやすそうだな」
マーシャ「えっ……」
アイク「どうも、あの空を飛んだ時の景色が忘れられなくてな。また後ろに乗せてもらいたいと思って」
アイク「……その、マーシャだったら安心して手綱を任せられると思うからな。お願いできるか?」
マーシャ「は、はい!ふ、不束者ですが宜しくお願いします!」
アイク「もちろんだ。こちらこそ、宜しく頼む」
――白馬の王子様なんて御伽噺だけだと思ってたけど、少なくとも私には確かに存在した。私は本当に幸せ者です……アイクさん。
終わり
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:58:29.88 ID:UcIpXXWz0
マーシャ編完。
定期的に保守してくださったID:y1bL70WP0さんには感謝感謝ホイです。
レスがつかな過ぎてDAT落ちにびくつきながら書いてるので。
次は書くとしたらイレースかなぁ……
レテは印付きのこと考えちゃうとなんか気乗りしないという最大の罠が。
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 20:12:31.03 ID:y1bL70WP0
お疲れ様でしたー
マーシャ「ついに、クリミアへ進軍するんですよね」
アイク「そうだな。もう準備は済ませたのか?」
マーシャ「ええ!天馬騎士の支度はてきぱきすべし、って叩き込まれてますからね。アイクさんは?」
アイク「俺はもとより大した装備でもないからな」
アイク「代わりって訳じゃないが、随分責任は重くなってしまったが」
マーシャ「例の叙勲、ってやつですか?」
アイク「ああ。形式上とはいえ、爵位ってのは妙に面映いというか、馴染まないな」
マーシャ「アイクさんらしいですね。ふふっ」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:33:55.44 ID:1h7kC7gW0
アイク「本来ならこうやって剣なんか振ってる場合じゃないのかもしれんが、日課として染み付いてしまっているからそう簡単には抜けん」 ビュッ
アイク「作戦の立案諸々はとりあえずセネリオに押し付けてしまっているが……ゆくゆくは俺も覚えなきゃならんのだろうな」 ダッ スパンッ
アイク「大局的な見地でものを見る、ってのは重要なのは理解できるんだが。やはり俺は深く考えるのは向かん」 ヒュンッ チャキッ
マーシャ「……よく話しながら修行できますね」
アイク「慣れてるからな。体が勝手に動いてしまうぐらいにならんと実戦じゃ使えん」
マーシャ「しかし大局的、かぁ……大局的、広い視野……そうだ!」
マーシャ「アイクさん、私の天馬に乗ってみませんか?」
アイク「……なんだって?」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:40:29.11 ID:1h7kC7gW0
アイク「天馬は乙女しか乗れないと思い込んでいたが……」
マーシャ「よくされるんですよねぇその勘違い。女性の方が単に天馬と馴染みやすいってだけで、男の方でも普通に乗れるんですよ?」
アイク「とはいえ即席で乗りこなせるほど俺は乗馬に慣れてるわけじゃないし、そもそも今言った通りそう簡単に俺に天馬が馴染んでくれるとは思えん」
マーシャ「それは私が手綱を握りますから大丈夫です。アイクさんは後ろに座ってください」
アイク「なるほど、それならいけそうだが……天馬は重くないのか?」
マーシャ「負傷兵の救護なんてのも天馬騎士の仕事の一つですから、一人ぐらいなんてことありませんよ」
アイク「ふむ……じゃあ折角だから乗せてもらおうかな。なかなかない体験だろうしな」
マーシャ(やった!) グッ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:46:13.42 ID:1h7kC7gW0
マーシャ「乗りました?じゃあいきますよ……お願い!」
ペガサス「……!」 コクッ
ダカダカダカ ビュオオッ
アイク「……!これは……凄いな。人がアリのようだ」
マーシャ「ちょ、ちょっと急に飛びすぎちゃいましたね……怖かったりしないですか?」
アイク「いや……まあ、思った程怖くはないな。天馬も落ち着いているし、良く訓練されているんだな」
アイク「ただ、この高さで戦闘をする、となったら話は別だろうが……」
マーシャ「アイクさん……もうちょっと戦いから離れた考えはできません?」
アイク「あっと、すまない。つい性分でな」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 16:59:27.55 ID:1h7kC7gW0
マーシャ「それで、どうですか?空から下を見下ろしたご感想は」
アイク「……綺麗だな」
マーシャ「えっ?」
アイク「戦乱で荒れつつあるとはいえ、こうして空から見た大地ってのはやっぱり綺麗で壮大なもんだ」
マーシャ「あ、あぁ……はい」
アイク「何か変なこと言ったか?」
マーシャ「い、いえ!なんでもないですっ」
マーシャ(そんなはずないわよね……まったく私のバカ) カァァ
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:09:03.16 ID:1h7kC7gW0
アイク「それはそれとして、見取り図では見たが上から見るとこんな陣形になっているんだな」
アイク「セネリオが考えたらしいが、確かにこうして見ると敵から見たら厄介そうだ」
マーシャ「……随分信頼してるんですね、セネリオさんのこと」 ムスッ
アイク「なんだかんだで俺達の参謀役だからな。抜けた所も多いが、それ以上に頼りにしてるのは間違いない」
マーシャ「そう……ですか」
アイク「とはいえ、こうして考えると天馬騎士の役割ってのは本当に重要なんだな。マーシャは凄いと思う」
マーシャ「は、はいっ!?」
アイク「ん?いや、うちの飛行部隊ってあんたとジルだけだからな。改めてそう感じただけだが」
マーシャ「そ、そそそそんな私なんて」
アイク「……そんなに意外そうな顔をしなくとも。顔も赤いし、気を悪くしたならすまない」
マーシャ「そ、そその……も、もうそろそろ降りましょうか!」
アイク「うん?そうだな。そうするか」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:18:02.58 ID:1h7kC7gW0
アイク「面白い試みだった」
マーシャ「そ、そうですか。そう言って貰えると嬉しいです」
アイク「今回は体験学習みたいなものだったが、いざ敵と向かい合った時はこういう情報がきっと役に立つんだと思う」
アイク「マーシャ、次に敵軍と対峙した時に試しにまた乗せてもらえないか?」
マーシャ「えっ!?」
アイク「さっき言った通りだ。別に斥候に頼めばいいんだろうが、自分の目で確かめるのも重要だと思うからな」
アイク「嫌なら別にいいんだが……」
マーシャ「と、とんでもありません!こちらこそよろしくお願いします!」
アイク「そうか。それは良かった」
アイク「そろそろ戻らないとセネリオやティアマトにがなられそうだからな。今日は世話になった」 スタスタ
マーシャ「……」 ギュッ
マーシャ「いたっ!……夢じゃ、ないのよね」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:28:10.55 ID:UcIpXXWz0
――――――
クリミア領内
マカロフ「お~い、マーシャ~」
マーシャ「……はぁ。何?兄さん」
マカロフ「わかってるくせに~。金貸してよ」
マーシャ「この切羽詰まってる時に金貸してなんてよく言えるわね……」
マーシャ「この前ステラさんのペンダント質に入れようとして懲りたんじゃなかったの?」
マカロフ「う……そ、それはそうなんだけどさ~。もうこれは俺の性分っていうか、変えられない性っていうか」
マーシャ「……はぁ。1000Gだけよ?」
マカロフ「あ、ありがと~。必ず返すからさ」 ダッ
マーシャ「……」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:32:05.69 ID:UcIpXXWz0
マカロフ「あ」 ピタッ
マーシャ「何?まだ何かあるの?」
マカロフ「お前、最近アイク将軍と良さげな仲らしいじゃん」
マーシャ「!」 ドキッ
マカロフ「なんかよく天馬でデートしてるって噂だぜ~?ま、頑張れよ~」 ダッダッ
マーシャ「……そ、そんなに噂になってたのね、アイクさんとの事……」 カァァ
アイク「俺がどうかしたか?」
マーシャ「わぁっ!おどかさないでくださいよアイクさん!」
アイク「別におどかしたつもりはないんだが……」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:40:17.68 ID:UcIpXXWz0
アイク「……また金の無心に来てたのか?マカロフは」
マーシャ「え。み、見てたんですかアイクさん!?」
アイク「いや、あいつが走り去るのが見えただけで話の筋はさっぱりだが……どうかしたのか?」
マーシャ「……はぁぁ。い、いえ……仰るとおりでして」
アイク「ああいう輩は甘やかしてもろくなことにならないと思うんだがな」
マーシャ「……わかってるんです。今渡した金もどうせ賭場を潤して消えるっていうことぐらいは」
マーシャ「……でも、そんなダメな兄さんでも、私からすれば血の通った兄妹なんです」
マーシャ「だから私が見といてあげれば、人様に迷惑をかけられるよりはマシだと思うので」
アイク「そうか……マーシャは優しいんだな」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:47:56.13 ID:UcIpXXWz0
マーシャ「ありがとうございます。時々、はったおしてやりたいと思うときはありますけどね」
アイク「はは……」
マーシャ「そんな時は決まってアイクさんの顔が思い浮かぶんですよね」
アイク「……俺の?」
マーシャ「ええ。ミストちゃんが羨ましいなって。アイクさんみたいな兄さんだったら、私は……」
アイク「俺もそんなにできた兄だとも思わないが……光栄に思っておく」
マーシャ「……すみません、なんか愚痴っちゃったみたいで。一つ、お願いを聞いてもらっていいですか?」
アイク「俺でよければいつでも聞くさ。なんだ?」
マーシャ「あの……頭を撫でてもらっていいですか?本当のお兄さんみたいに」
アイク「わかった。……これでいいか?」 ワシャワシャ
マーシャ「あ……すごく気持ちいいです」 ジワッ
マーシャ「……ありがとうございました。もう結構です」
アイク「そうか。じゃあ、今日もいつものあれ、頼めるか?」
マーシャ「はい!」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 17:57:33.26 ID:UcIpXXWz0
――――――
海賊1『こんなところに一人で乗り込んでくるたぁ、能天気なお嬢ちゃんだ』
海賊2『兄貴の借金分、あんたが払ってくれるんだろう?――体でな!!』 ガッ
マーシャ『そ、そんな……離して!』
海賊3『へっ、抵抗したって無駄だ。おとなしく剥かれちまいなっ!』 ビリビリ
マーシャ『い、いやぁぁ!やめてっ!』
海賊1『はっ、この反応――まだ男を知らないと見えるな』
海賊2『こんな上玉で処女なんてなかなかついてるなぁ。たっぷり楽しませてもらおうぜぇ』
マーシャ『(だ、誰か……誰か助けて……!)』
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:03:07.80 ID:UcIpXXWz0
ヒュン
海賊3『ぐぁっ!』 バタッ
海賊2『こ、これは矢だと!?あんな距離から!?』
シノン『……下種が』
ダッ
海賊1『な、なんだてめぇは――ぐあぁっ!」 ザシュッ
???『お前達に語る名など無い』
海賊2『て、てめぇ――若造が、なめんじゃねぇぞ!」
???『……ふん。親父に比べたら遅すぎて欠伸が出る』 ザッ
海賊2『な……んだと?』 ズバァン
マーシャ『あ……あぁ……』
???『……とりあえずこれを』 ファサッ
マーシャ『マント……』
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:08:38.66 ID:UcIpXXWz0
???『災難だったな。奴らに何かされなかったか?怪我は?』
マーシャ『い、いえ……まだ、服だけで……うぅっ……!』 ポロポロ
???『……そうか。ティアマト、女の子を一人保護した。服を準備してやってくれ』
マーシャ『あ、あのっ!』
???『ん?』
マーシャ『た、助けてくれて、本当にありがとうございました……』
???『……気にする必要は無い。どうせ奴等は始末する依頼だったから、そのついでだっただけだ』
マーシャ『このご恩は必ず、必ず返しますから!その、お名前を教えていただいて構いませんか……?』
アイク『……アイクだ。グレイル傭兵団のアイク』
マーシャ『アイク……さん』
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:11:29.80 ID:UcIpXXWz0
パカラッパカラッ
ティアマト『アイク!大丈夫?』
アイク『ああ、俺なら心配ない。それよりもこの子を。俺は残党を掃討しに行く』
ティアマト『わかったわ、無理はしないようにね。さ、立てる?』
マーシャ『は、はい』
――――――
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:12:08.60 ID:y1bL70WP0
こんな出会いだったっけ?
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:17:54.76 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ、どうかしたのか?飛んだと思えば急にボーッとして」
マーシャ「い、いえ!少し疲れてるのかな、あはは」
アイク「疲れを残すのは危険だぞ。今日はやめておくか?」
マーシャ「大丈夫です!全く問題ありません!」 カァァ
アイク「そ、そうか。その元気があるなら大丈夫かな」
マーシャ「す、すいません」
アイク「マーシャに元気がないと俺も困るからな。元気なのは何よりだ」
マーシャ「えっ……」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:23:08.76 ID:UcIpXXWz0
>>35
海賊に騙されてるのを助ける、までは原作通りのはず(ちなみに蒼炎のケダモノ枠)
アイク「俺はマーシャに命を預けてるわけだからな。急に具合が悪くなられても困る」
マーシャ「……まぁ、そうですよね。でも信頼されてるのは素直に嬉しいです」
アイク「そうか。ところで、なんで天馬騎士って魔法使ったりはしないんだ?」
アイク「こんな風に二人乗りもできるわけだし、自分で使わずとも魔導士が同乗して上から掃射する、なんて戦術も取れそうだが」
マーシャ「うーん……」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:32:42.44 ID:UcIpXXWz0
マーシャ「単純に天馬が嫌がる、ってのが大きいかもしれませんね」
マーシャ「弓や風魔法は論外ですし、雷魔法もその性質上標的になりやすいですから」
マーシャ「炎や光の魔法ならいけるかもしれませんが、まあ天馬にとっていい気はしませんでしょうね」
アイク「そういうものか……じゃあ例えばソニックソードみたいな魔法剣は?」
マーシャ「大丈夫だと思いますが、それならそもそも私達自身で扱えますし」
アイク「そうか。しかし、戦術としては面白いかもしれないし一考の余地はあるかもな」
マーシャ「そうですね。例えばアイクさんしか使えない武器なんてものがあれば実用的かもしれません」
アイク「そんなものがあれば、だけどな」
マーシャ「はい」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:38:57.29 ID:UcIpXXWz0
――――――
クリミア王宮
アシュナード「ぐはっ……!」
アイク「や、やったか……!?」
アシュナード「ふ……まだだ……まだ足りぬ……もっと、もっとだ……」
アシュナード「遂にこれを使う時が来たか……ふ、ふははは……!」
アイク「あれは……メダリオン!?」
ドォォォォン
アシュナード「ふしゅううううう……よい心地だ……」
アイク「なんだ……こいつは……みんな、逃げろっ!逃げるんだっ!!」
アシュナード「もとより雑兵に興味など無い……我をもっと楽しませよ……グレイルの息子よ!」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:42:46.93 ID:UcIpXXWz0
ビュオオッ
アシュナード「……参る」
ブオオオッ
アイク「な……なんてスピードだ……!!」
アイク(受けても死ぬ……だがもう避けれない……俺は死ぬのか……!?)
マーシャ「アイクさんっ!!」 ビュンッ
アイク「!!」 グイッ
ドォンッ!!
アシュナード「……ふん、逃したか。そうこなくては面白くない」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:47:42.10 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ……!」
マーシャ「アイクさん!大丈夫ですか!?」 ジワッ
マーシャ「アイクさんがやられちゃったら、だれがあいつを倒すんですか!?」
マーシャ「アイクさんがいなくなったら、私……わたし……!」 グスッ
アイク「……ありがとう、マーシャ。少し落ち着けた」
アイク「だが……どうやら降りてる暇はなさそうだ」
ブオンッ
アシュナード「ラジャイオンを駆る我と空戦とは、愚かな。だが面白い」
アイク「……マーシャ、俺の命を預ける。戦いは俺に任せろ」
マーシャ「……はい!」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 18:51:40.65 ID:UcIpXXWz0
アイク「まず距離を離してくれ!まともに戦ったら勝ち目は無い!」
マーシャ「はい!」 ビュオオッ
アイク「ちぃっ……!」 スパァン スパァン
アシュナード「ラグネルの剣圧か……だが軽い!」 キィンキィン
アシュナード「その程度の真似事なら余にもできるぞ!」 ズバァン
アイク「左だ!」
マーシャ「はいっ!」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:01:02.58 ID:UcIpXXWz0
地上
ジル「隊長!助けに行かないとまずいのでは――」
ハール「うーん……無理だな」
ジル「どうしてですか!あのままではジリ貧です!このままでは――」
ハール「つったって、俺達じゃどうしようもねぇよ。これは純然たる事実だ」
ハール「単純に攻撃が通じない上に、あの乗ってる竜がとんでもねぇ。竜同士じゃまず勝ち目はねぇな」
ジル「そんな冷静に分析してる場合じゃ――」
ハール「まぁ落ち着け。どの道今の状態で手を出しても向こうは歯牙にもかけねぇよ」
ハール「狙うなら、もっと効率のいいタイミングを選ぶ必要がある」
ハール「それに、救いなのは小回りだけならあの娘のファルコンの方が遥かに上だってことだ。よほどの信頼関係がねぇとできねぇぞありゃ」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:04:33.68 ID:UcIpXXWz0
タニス「ハール殿の言う通りだろう」
ジル「タニス殿……」
タニス「マーシャ……よくぞあそこまで成長したものだ」
タニス「お前の働き、ここで指を咥えて見ていなければならないのは歯痒いが……待っていろ」
ハール「チャンスは必ず来る。その時にすることはわかるな?」
ジル「……最高のタイミングで、横合いから思い切り殴りつける」
ハール「そうだ。……丁度、おいでなすったようだぜ」
ティバーン「あれが狂王……メダリオンの力ってやつか」
ネサラ「おい、あれと戦うのかよ……マジで?」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:13:32.36 ID:UcIpXXWz0
アイク「くっ……はぁっ!」 ビュンビュン
アシュナード「ちょこまかと逃げ回りおって……グレイルの名が泣くぞ」 ガキン ブンッ
アイク「右!」
マーシャ「はいっ!!」
アイク「はぁ……はぁ……!」
アイク「俺一人では勝てない……だが」
アイク「俺には、マーシャが……仲間達がいる!だからこそお前に負けるわけにはいかないっ!」
マーシャ「……!」
ビュウンッ
ティバーン「よく言った、坊主!」
ネサラ「はぁ……やれやれ。報酬はたんまりはずんでもらうぜ?」
アシュナード「ぐっ、鳥共の長か……面白い。なお面白くなった」 ニヤァ
アイク「感謝する、ティバーン、ネサラ!……行くぞ、アシュナード!」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:22:32.60 ID:UcIpXXWz0
アイク「マーシャ、前!」
マーシャ「はい!」 ビュオオッ
アイク「うおおっ!」 スパンッ スパンッ
アシュナード「効かぬと言っておる――何!?」 ズバッ
マーシャ「引きながらと進みながらでは威力が全く違います!」
ティバーン「でかしたアイク!おらあっ!」 ズガァッ
ネサラ「逝けオラァ!」 グサグサッ
アシュナード「この程度……ものの数ではない!」 ブオンッ
ティバーン「ちっ!」
ネサラ「くそがっ!」
アイク「まだだっ!」
アシュナード「もう背後にだと!?うぐっ!」 ズバッ
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:29:54.18 ID:UcIpXXWz0
アシュナード「調子に――乗るな!」 ブァンッ
アイク「何っ!?」
マーシャ「間に合わな――」
ドンッ
タニス「ぐあっ!」 ズシャッ
マーシャ「た、隊長!?」
タニス「だ、大丈夫だ。肩口を抉られただけだ、死にはせん」 グラッ
マーシャ「でも!」
タニス「うるさい!部下がこれだけ立派になったのだ。これくらい格好つけさせろ」
タニス「今だ、二人とも!」
ハール「おお!」
ジル「覚悟!」
ドカァッ
アシュナード「体当たりだと!?馬鹿な、ラジャイオンが」
ハール「止まってるところに左右から頭を揺らせば、流石に効くだろうよ」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:34:28.14 ID:UcIpXXWz0
アイク「止めだ!!」
ティバーン「おお!」
ネサラ「オラァッ!!」
ドガァッ グサァッ ズバァンッ
アシュナード「ふ……ふはははは……その調子だ……もっとだ……もっ……と……」 グラッ
ヒュゥゥゥン・・・グシャア
アイク「はぁ……はぁ……やった……か……」
ネサラ「……まぁ、この高度から落ちたら、さすがにアレとて生きちゃいねぇだろうな」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:44:08.78 ID:UcIpXXWz0
地上
スタッ
アイク「……マーシャ」
マーシャ「なんですか?」
アイク「……その、なんだ。ありがとう。マーシャが横から救い上げてくれなかったら、俺は間違いなく死んでいた」
マーシャ「いえ。私も、アイクさんが危ないと思った瞬間、体が勝手に動いていて――」
マーシャ「――やっぱり、アイクさんは私の王子様でした。助けてもらったあの時から、ずっと」
アイク「……マーシャ、俺は――」
マーシャ「ストップ、アイクさん。今はまだ答えなくていいです。今じゃフェアじゃない気がしますから」
アイク「……フェア?」
マーシャ「はい。もう少し落ち着いて、それから答えを出していただきたいです」
アイク「……わかった。だが、もう一度礼を言わさせてもらおう。ありがとう」
マーシャ「どういたしまして!」 ニコッ
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:55:49.05 ID:UcIpXXWz0
エリンシア女王誕生後
アイク「マーシャは、クリミアの兵として志願するって本当なのか?」
マーシャ「ええ。エリンシア様がとりなしてくれまして。タニス様が脱走についても不問にしてくださるとのことだったので」
アイク「そうか……なら、しばらくは顔を合わしやすそうだな」
マーシャ「えっ……」
アイク「どうも、あの空を飛んだ時の景色が忘れられなくてな。また後ろに乗せてもらいたいと思って」
アイク「……その、マーシャだったら安心して手綱を任せられると思うからな。お願いできるか?」
マーシャ「は、はい!ふ、不束者ですが宜しくお願いします!」
アイク「もちろんだ。こちらこそ、宜しく頼む」
――白馬の王子様なんて御伽噺だけだと思ってたけど、少なくとも私には確かに存在した。私は本当に幸せ者です……アイクさん。
終わり
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 19:58:29.88 ID:UcIpXXWz0
マーシャ編完。
定期的に保守してくださったID:y1bL70WP0さんには感謝感謝ホイです。
レスがつかな過ぎてDAT落ちにびくつきながら書いてるので。
次は書くとしたらイレースかなぁ……
レテは印付きのこと考えちゃうとなんか気乗りしないという最大の罠が。
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 20:12:31.03 ID:y1bL70WP0
お疲れ様でしたー